Story Tellers from the Coming Generation! Interactive fighting novel JOJO-CON

葉水加狂さんの「ワイアード・ベック」

VS

坂崎悠乃さんの「東方仗助」

マッチメーカー :かいがら
バトルステージ :地下鉄
ストーリーモード :Fantastic Mode


双方向対戦小説ジョジョ魂



ROUND  3



18.孤軍




 クソ…
 今日はマジで最悪の日だぜ!

 不意打ちとはいえ、モノスゲーダメージ食らっちまったぜチクショー…
 この足、動くくらいなら大丈夫みたい…だけどよぉ…
 走ったり跳んだりするたび、痛みが走るぜ…
 痛くて何もできねー…

 何でオッサンの手、モノスゲー速さでオレの足を「凍らせた」んだ!?
 凍らせるなんて全然書いてなかったじゃねーかよ…
 あのくそジジー…
 こういう時、いっつも「自分のスタンドで自分が治せねぇ」っての、フベンだと思うぜ…
 壊して治すってカタチじゃなくって、創って治すって形だったら便利なのによぉ…

 ボヤいてても仕方ねーな。
 今オレはオッサンとチェーザレ、そしてオッサンの「補充」した吸血鬼に囲まれてる。
 これは、どうしよーもねぇ事実だ…
 このまんまじゃ、オレはこいつらの食い物になっちまう。
 これもどうしーもねぇ事実…
 いや、想像したくねぇな!
 オレなんか食ったって美味くないのによぉ…
 頭からかじられたりすると、ヘアセットだって乱れるぜェ…

 こんなピンチ丸出しの状況、どう切り抜けりゃいいんだァ!?
 この後オレに出来る事といったら、とりあえずコイツラを片付けるか、何とかこいつらから逃げ出して、待ち合わせ場所にいるはずのツェペリさんや康一と合流するか、それか、このまんま食われちまうかだな…

 一番目はどうも出来そうにねぇぜ…
 チェーザレ一人でもかなり苦戦したんだ…
 もしチェーザレやオッサン一人なんだったらなんとか倒せるんだろうけどよ…
 だけど…
 オッサンはさっき別の車両に言ったってことは…
 向こうからゴキブリみたいに吸血鬼が沸いて来るかも、ってことだよなぁ…
 さっきみたいに下とか上から襲ってこないともかぎらねぇ…

 ホントは康一がツェペリさんを連れてジャジャジャーンって助けに来てくれたらいいんだけどよ…
 まぁ、そう上手く行くわけねぇ…
 オレが戦ってることも知らねぇだろうな。
 そういうと、オレってチコクしてると思われてんだよな・・・
 それも何かイヤだよなァ〜…

 チクショー…
 オッサンもチェーザレも、ニヤニヤしながらこっちを見てやがる…
 ネズミを追い詰めたネコみたいな眼だぜ…
 列車の中もどんどんと「腐ったような臭い」が充満してきているし、マジでヤベぇな…
 万事休すってヤツか?

 …ん!?
 これは…?


19.今落ちて来た泥の中で




 チョコマカと逃げられないよう、まず「機動性」を奪ったズラ!
 これでこいつはオレ達から逃げられない!
 勝利は確実だズラ!
 脳漿をそのまま掬い取ってカッ食らってやるズラ!

 やっとこの不愉快なガキを始末できると思った時
「ボトン…ボトン…」
 と電車の中に何かの音が入ってきたズラ…

 オレもチェーザレも、そして波紋使いもその音を聞き、何気なく見渡す…
 そう、見渡す時は何気なくで…
 何もおかしい事はないと思ったズラ。

 けど…
 振り込んできたものは…
 泥―
 水でなく、泥が降り注いできたズラ!
 水よりも、もっとおかしいものが降り注いできたズラ!
 水ならば水道管の破裂とか、色々考えられるズラ!
 けど、泥!?
 そしてその量はだんだんと多くなっていくズラ!

 こ…これもコイツの波紋の能力!?
 波紋使いは何が出来るのか、オレには全くわからねーズラ!
 この泥は…危険!?

 オレとチェーザレが「本能的に」泥から飛び退くと同時に、波紋使いは泥の中へと身を躍らせたズラッ!
 そしてヤツは泥を全身に浴びつつ、こう言う―

「助かったぜ…何かは全くわからねーが…とりあえず、今のオレには恵みの雨…いや、泥ってとこだな…」

 !?
 ヤツの体が宙に浮いたッ!?
 何に引っ張られてるズラッ!?
 上の穴から逃げる!?

 逃がさねズラッ!
 とおおおおォォォ!?

 何で、オレに向かって棒が飛んできたズラッ!?
 かわしきれず、オレはその「棒」を喰らい一瞬ひるんだスキに、ヤツは浮遊していくズラッ…

「オッサン…その棒をやるぜッ!仲良くしとけッ!」

 取り逃がした…ズラ。
 しかし、飛んできた棒は…?
 どこに行ったズラッ…?

 こ…これも波紋…!?
 と、とにかく追うズラッ!
 逃げたとしても、ヤツのあの足では…
 とうてい遠くに逃げられっこねーズラ!


20.助け人と、傍観者と




 何と言う事だろう…
 ジョースケが遅れている事をたんに「遅刻」と決め付けたのは、私のミスだったかもしれない…

 ジョースケの遅刻。
 少年の語る「地下鉄の事故」。
 最近の列車消失事件。
 自動車事故の多発。
 そして、私を狙っている吸血鬼の存在。

 全てを一本にして考える必要があったのではないか?
 これは全てその吸血鬼が裏で糸を引いてる事と考えられないか?

 前の列車消失で生き残った少年は、明らかに吸血鬼の関与を思わせる発言をしていた。
 ヤツらは「食料」の調達のために電車を襲ったと考えられる。
 という事は、今回も…
 地上の事故は、撹乱のためか?

 とにかく考えるよりも早く、行動しなくてはならない。
 もう約束の時間から20分以上が経過している。
 この間に、列車の中の人間が次々と犠牲になっている事も考えられる…
 もう、残された時間は、少ない。

 そして何より、ジョースケがその列車に乗っている可能性が高い。
 コーイチの話によると、彼は普段いいかげんなように見えて、実は誰よりも友達を大切にするタイプらしい。
 また、頭も切れるようだ。
 父親に似たという所か…
 ジョースター家の血筋、だな…

 とにかく、そんな彼がコーイチを待たせる事は考えられない。
 初めての土地でも、要領良く動いて時間は間に合わせるだろう…
 やはり、最悪の事態も考慮すべき…

 実際、ジョースケの「幽波紋」がどれだけ強いのか、私にはわからない。
 私の「波紋」と「幽波紋」とは似て非なるもの、とジョセフも言っていた。
 実際、波紋よりも吸血鬼退治に有効な手段となり得るかもしれない…
 しかし、吸血鬼と遭遇した事がない人間が、多数の屍生人、吸血鬼を相手に出来るかどうか…

 今からでも急がなければいけない。
 これ以上事態が深刻になる事は防がなければいけない…


「コーイチ、今すぐ地下鉄に向かうぞ…、まだ手遅れでないと信じたい」
「あ、待って下さい、ツェペリさんッ!」

 …
 あの二人、行ってしまいましたよ?
 ひょっとしたら、ボスの事を探っていたのかもしれない…
 放っておいていいんですか?

『放って置け。
お前は私の言うことを聞いていればいい・・・
それよりも向こうを見ろ…。
あとはお前の努力次第だ。
期待しているぞ、私の可愛いドッピオよ…』

 …!?
 あれは…!?
 ブチャラティとセッコ!?


21.トリック・ベアリング




 エタイの知れねードロのおかげでとりあえず列車から逃げ出せたのはいいけどよぉ…
 こんなので逃げ切れるとは思えねぇ…
 すぐにヤツは…
 来やがったッ!

「NNNN〜、おしいおしい…
いい逃げ方だったズラよ?波紋使い…

だけどなァ…
いいかげんその足で逃げ切れねーって事、理解しろだズラッ!」

 ヤツは体毛を針のようにして、それを伸ばしながら襲ってくるッ!
 仕方ねぇ…
 壁だぜッ!

「そんな風に…
チャチな壁を作りながら、逃げていけると思ってんのかァ?
無駄なあがきズラ…

お前は…こんな風に…
叩き潰してから、喰ってやるだズラッ!」

 …!?
 自分の有利さ見せるためとはいえよォ…
 フツー胸からベアリングえぐり出すかァ…?
 おまけに、ご丁寧にヒン曲げてオレに投げつけやがって…!
 ム、ムネ悪くなるぜ…

 とにかく、今のオレには「壁」を作りながら「逃げる」しかできねー…
 この足じゃ、ヤツと戦っても効率がわりいし、それにヤツには仲間の吸血鬼がいやがる…
 今はヤツから…
 ……!?

 突然オレの足元の「天井」が溶ける!?
 下からはチェーザレのカンタレラか!?
 逃げたつもりが、自分を追い込んだかも知れねぇな…
 上にも、前にも敵か…
 チクショー…

 だけどよぉ…ベアリングをムネから取り出したのは、オッサンの誤算、オレの幸運だぜッ!

 クレイジー・ダイヤモンドッ!

 チェーザレがさっきまで「血管」を刺し込んで溶かしていた列車の部分。
 そして、オレがベアリングをもぎ取った列車の部分。
 最後に、ベアリングにひっついた、オッサンの「肉片」。

 サイコーのスタンドパワーをくれてやるぜ…
 オレには、もうこれ以上は出来ねぇ…

 …
 さて、オレはとっとと逃げねーとな…
 まだくたばりたくねぇぜ…
 足を…ムリして使うしかねぇか…


22.スプラッター・ゾンビ




 な…
 何故私の体が引きずられる!?
 何かが私の体内にでもいるのか!?
 う、上に引っ張られる!?

 これは…
 ヤツの「波紋」!?
 「波紋」とは、近づかなければ流せないものでなかったのか!?
 うおおおおおぉぉぉ!!!

 激しい衝撃。
 何かと激突したような感覚。

 しばらくして、状況がつかめてきた…

 私が引っ張られた先は、列車の上部…
 そして、私が激突したのは…
 ベック様!?
 私の血管からは血管針が出たままで…!?
 まずい!!

ANGYAAAAAAAAAAAAAA!!ちぇ、チェーザレッ!は、離れろだズラァァァ!溶けるッ!はやくゥゥゥゥ!!」

 カンタレラによってベック様が溶けていく…!
 しかし!
 私は…
 手足の骨が折れている!?
 動けない!
 いかに私が人外の力を得ていようとも…!

 我が主は溶けゆく!

「どーしてのかねーズラッ!…ウザってぇズラァァァァ!」

 当惑している私にベック様の怒号が響く。
 なんとかせねば…
 なんとか…

 そう思った時だった。
 私の体は高く浮き上がり、そして天井に叩きつけられる。
 全身からカンタレラが吹き出すのがわかる。
 そして、私の意識も遠くなっていく…

 私は…
 再び闇へと還っていくのか…?
 妹…よ…………
 と………も…に…


22.数十年来の邂逅




 這っていた。
 ほんの数分前まで列車に乗り、歩く事を当たり前としていた男が、地を這っていた。

 その足の凍傷は、悪化していた。
 無理な体勢から列車の天井に飛び移り、そして敵から逃げる事で足を酷使したため、凍傷が激痛を伴うものと化していた。
 しかし、男は這ってでも、列車から離れる事をやめない。
 まるで這う事が生き残る為の条件であるかのように。

「ヤツが…あの程度で死ぬとは思えねェ…
だが…今は…逃げるんだ…。駅は…近いはずだぜ…」

 うわ言のようにつぶやきつつ、男は這いずる。
 泥まみれの服で男は何を見ているのか。
 この空間で、彼は大地を見ているのか、それとも、星を見出そうとしているのか。
 静寂が支配する漆黒の中、男の這いずる音だけがかすかな響きとなって空間の中に広がる。
 この時は永遠に続くかと思われるほど、単調なリズム。

 しかし、その単調な静寂は喧騒に取って代わられた。
 突如…
 そう、突如。
「時が跳んだ」かのように、数人の男が這いずる者に近づいていた。

「いい…作戦だったズラ…。波紋使い…。
オレはおめーの事、なめすぎてたようだズラ…。
秘密兵器のはずの…チェーザレも失い…オレも…消耗が激しい…ズラ…。
けど…
引けねぇズラッ!
貴様を喰らって、オレは復活するズラッ!
絶対に…
絶対に…お前だけは!
逃がさねェズラァァァ!!」

 咆哮。
 顔も身体も、全身が無残に溶けたままの男の咆哮。
 この吸血鬼であるベックが回復する能力を使わない、いや使えない事は、彼の言う「消耗」を証明するものであった。

「そうやってよぉ…
『マジメにやる』って言って、オレに負けたヤツが前にもいたぜ…。
結局、そいつもオッサンも、キャラじゃねーんだよ…
『マジメにやる』ってのがなァ!」

 這いずりつつ、仗助は言い返しながら、考える。
 オレは、この人数を同時に相手できるのか?
 それよりも…
 なんでヤツは足音もなく、いきなり迫ってきたんだ!?
 そう、まるで「時」が跳んだかのように…?

「へへん…
強がりは…やめるズラッ!
やれッ!」

 ベックの号令に従い、彼の後ろの男たちは地に伏している男に襲い掛かる。
 その時だった。
 何かが光った気がした。

 いや…気のせいではなかった。
 何時の間にか、透明の物体群は…奥から太陽光を反射させるべく、設置されていた。
 反射された太陽光がレーザーの様に屍生人を貫く。
 手を。
 足を。
 頭を。
 胴を。
 仗助の前に迫っていた屍生人達は、文字通り「影も形も残さず」消滅してしまった…
 
「よく…一人で頑張ったな…。
君の父親もそうだった。
やはり、君はジョースターの子だ…。
あの、くだらない悪知恵と…そして…誰よりも、熱い心を持った、ジョースターのな…」

 トンネルの奥から、声が響く。
 静かながら、強い意志を表す声が。

 そして、その男は姿を見せる。
 一人の少年を伴って。

 かろうじて難を逃れたベックは、こうつぶやいた…
「シーザー・ツェペリズラかッ…!?」


23.爆弾


 やっと…
 やっと出会えたズラッ!
 シーザー・ツェペリッ!

 ここで貴様を殺して…
 と言いたい所だけど…
 オレは完全に消耗しちまってるズラ。
 自分で作った屍生人にやられるとは、思いもしなかったズラ…
 何とか引き剥がした時にはもうかなりの体力を消耗し…
 おまけに、チェーザレも動けなくなってしまったズラ…

 ここは、ひとまず撤退だズラッ!
 しかし、出来ればこの髪型がヘンなガキだけは殺しておきたいズラ。
 ヤツはオレの能力を見、実際に戦っている…
 ヤツからオレの情報が流れると、オレが不利になることは間違いないズラ…

「貴様が…吸血鬼か?
悪いが…
いや、これっぽっちも悪いとは思わんが…
滅んでもらおう。
貴様は、この世にはいてはならん存在だ…」

 ケッ!
 言ってくれるズラ…

 だけど、オレにはまだ奥の手があるズラッ!



 どうして…
 オッサンのヤローはツェペリさんの技を見て逃げねーんだ?
 吸血鬼は太陽光に弱いはず!
 ツェペリさんのさっきの技は、正確に吸血鬼どもを打ち抜いていたぜ…?
 つまり、オッサンはいつかは打ち抜かれるはず!
 何か企んでやがんのか?
 チクショー…
 読めねぇ…

「さらばだ、吸血鬼!
真っ黒に感光しろォォォ!」

 ツェペリさんの叫びとともに、シャボンからの反射光が角度を整えてヤツを襲うッ!
 それと同時にヤツの周りを吸血鬼どもが囲む!
 バリアのつもりか!?
 いや、太陽光はそんなもんじゃ止まらねぇ!
 ヤツもこれで終わり…
 じゃねぇだとォ!?
 どうなってんだッ!?



「屍生人」は、そしてオレは太陽光に弱い…
 確かにそうだズラ…
 けど、人間がオレから太陽光を遮ってくれたら?
 人間に太陽光は…
 きかねぇズラッ!

「人の盾!」
 これが第一の作戦!
 そして第二の作戦は…
「爆弾」ズラッ!



 な…何故この屍生人どもには太陽光が効かない!?
 まさか…
 肉の芽で操られた人間…!?

 その時だ…
 まるで時間が跳んだかの様に、急に頭上から何かが降下してくる!?
 吸血鬼め、いつ投げたのだ!?
 この程度、シャボンカッターで切り裂いて…

「ツ…ツェペリさんッ!ダメだッ!
何でも溶かす毒が振って来るぜッ!
防御してくれェェ!」

 何を…
 言っているんだ、ジョースケ…?
 その時、頭上でその物体が真っ二つに割れ…
 そして、何か体液のようなものが降り注いできた!
 何かまずい!
 コーイチ、こっちに来てッ!

 シャボン・バリアァァァァ!!



 いつ…
 チェーザレを投げやがったんだ…!?
 こいつ…
 さっきから、まるで時間を跳ばしてるみたいに動きやがる!
 とりあえず。
 ツェペリさんは…
 なんとか、カンタレラを防いだみたいだ…
 …

 !?
 オレのムネを熱い感触が貫く。
 な…ん…だ…!?

「あわよくば…
波紋使いを一斉に始末できたのに…
テメーは、オレのジャマばっかりするズラ…
だから、お仕置きだズラッ!」

 やっと…
 状況が…
 飲み込めてきたぜ…

 ヤツは…
 人の壁を貫く、何か攻撃をしやがった…
 ヤツにとっちゃ…
 人間なんて「消耗品」だしよォ…
 こんな外道な攻撃、ヤツしか考えつかねーぜ…

 オレの…
 負けだ…
 意識が遠くなっていくぜ…

「…一発、食ら…てやるズラッ!
き…まだけは…め…して…ラッ!
空…ンギー…い……」

 ダメだ…
 もうかわせねェ…
 康一、ツェペリさん…
 承太郎さん、すいません…
 最後に、ヘマやったなって思いながら、オレは意識を閉じた…



東方仗助(敗北)

ワイアード・ベック(勝利!)




エピローグ 鎮魂歌は静かに奏でられて




 う…ん…
 頬を濡らす水滴はオレに意識と視界を取り戻させてくれた。
 ここは…どこだ?
 とりあえず、オレは真っ暗な闇の中で、どういうワケか寝てたのかァ?

 漆黒にだんだんとオレの目は慣れていく…
 ここは…どこかはやっぱりわからねぇな。
 漆黒の闇の中に、オレの他にも数人の男が倒れこんでいる。
 ごく近くに数人の群、少しはなれたところに二人…
 こいつらも「気絶」しているのか…?
 何が…起きたんだ?

 ようやく頭が回り出したオレは、「意識を失う前」の事を思い出してみる。

 確か、オレは戦っていたはずだ。
 クソジジーの依頼で、イタリアまで飛ばされて…
 で、偶然というかなんというか、列車の中で吸血鬼のオッサンに遭遇して…
 「チェーザレ」とかいう吸血鬼にもいっしょに襲われて…
 考えるだけで人生最悪の日だぜ…

 そして…
 最後は?
 オレは、どうした?

 …
 最後は、オレがオッサンの前で倒れ伏して…
 そうか、オレはオッサンに負けたんだ…

 …
 ………
 ……ってコトはここは地獄かァ〜!?
 真っ暗だしよォ!
 生きてる割にはあまりにも静か過ぎるぜ!
 オレ死んじまったのかよォ〜!?
 まだ人生の酸いも甘いもケーケンしてないぜこの仗助さんはよォ〜!!
 悲しすぎるぜ〜、ウッウッ…

「う…う…」
 オレのすぐ近くで倒れていた男達の一人が体を動かそうとしてるぜ…
 可哀想によぉ…
 こいつもあのクソオッサンに殺されたクチなんだろうな…

 オレはとりあえず、その男を揺さぶってみた。

「な…何が、起こったズラ…?」

 変なしゃべり方だぜ…
 あの吸血鬼のオッサンみたいな…
 …あァ!?
 どういう事だァ!?

「か…身体が動かないズラッ!?な…何でこんなに激痛がするズラッ!?
お…オエに激痛は無縁のはずだズラッ!?」

 ツェペリさんがあの後、オッサンを始末したのか?
 まぁ、どうでもいいか…
 ここが地獄でも何でも、今からオッサンをブチのめす!
 借りを100倍にして返してやるぜェ!!
 オッサンの顔に10000発は叩き込んでやろうと思ってオレはそいつの襟首を掴み持ち上げた。
 ヤロォ!


 ―――――
 しばらくの沈黙。
 お互いがお互いの顔を見合わせたまま…

 そして、オレと「見覚えのある顔」は同時に素っ頓狂な声をあげる!

 「オレ!?」



END



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対戦ソース

葉水加狂さんの「ワイアード・ベック」 / 坂崎悠乃さんの「東方仗助」


この対戦小説は葉水加狂さんと坂崎悠乃さんの対戦ソースをもとにかいがらが構成しています。
解釈ミスなどあるかもしれませんがご容赦ください。
葉水加狂さんと坂崎悠乃さん及び、ベックと仗助にもありがとう!

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