Story Tellers from the Coming Generation! Interactive fighting novel JOJO-CON

J・ナッシュさんの「J・ガイル」

VS

戦慄の雲さんの「ギアッチョ」

マッチメーカー :かいがら
バトルステージ :礼拝堂
ストーリーモード :Semi Fantastic Mode


双方向対戦小説ジョジョ魂



ROUND  2



5.昔との合わせ鏡



 祭壇、天井。
 至る所に張られているステンドグラス。
 そして、この場を包む静寂。
 たったひとつの軽い足音だけが、この静寂から離れるために響いていた。

「一応、名乗っておこうか。
 君と私の因果が、再び交差しないとも限らないから…。
 名乗らないのは、失礼に当たる。

 私の名はJ・ガイル。
 私も君と同じような『不思議な力』を持っている。
 今、君が体験しているこの力だ。
 私の力は『吊るされた男』の暗示。
 試練と自己犠牲を意味する…」

 嘲笑をやめて、J・ガイルは静かに言い放つ。
 そして、身動きの取れない己が四肢をばたばたさせつつ、ギアッチョはJ・ガイルの
 話を聞かされている。
 その双眸に怒りを含み、その口に牙を噛み。

「私も昔はそんなだったよ…」

 J・ガイルは目の前に男に対して、言葉を続けた。
 もちろん、ハングドマンが相手の首を「ロック」し、身動きできなくさせたまま。

「私も、力さえあれば何でも出来ると思っていた。
 欲望に忠実。
 確かに、それは人間の『本来の姿』かもしれない。
 オンナだって、カネだって、自分が持っている不思議な力でいくらでも入ると思っていた。
 だけどな…
 力は、それよりも大きな力に対して全くの『無力』だ。
 そして、いくら大きな力を持っていたとしても、『力』では奪う事しか出来ない。

 今、君は幼い子を襲って、物を強奪しようとしている。
 確かに、君は特殊な力を持っているようだし、
 それを使いこなして今まで思うがままに過ごしてきただろう。
 しかし、いつかは壁に当たる。
 昔の私と一緒で…

 君は幸いにして、まだ若い。
 そして、やり直せるだけの充分な力も持っている。
 私の二の舞となる事は、避けてもらいたい…。

 私は、誰も傷つけたくない。
 宗教上の教義というのもあるが、これは私の本心だ。
 このまま、この場は退いて…。
 改心してくれないか?
 何か打ち込める事を探して、正業を全うして欲しい。
 心のない力は、いざという時無力なものだぞ」

 ギアッチョは無言を貫く。
 むろん、こんな説法に納得するような男ではない。 

 こんな、お涙頂戴モノの話に乗るなんざ、ご免だぜ…。
 第一、 何でこのロリコン野郎に説教されなきゃいけねーんだ?
 オレは…こんな所でヘマやって、仲間に笑われるわけには!

 ギアッチョの瞳は、侮蔑と拒絶の色を失わず、J・ガイルを見すえていた。

 その拒絶の意を失わない眼差しを見て、J・ガイルが諦めの言葉をいい放った、いかにも残念だという表情と共に。
「納得出来ないのか…。
 では、仕方ないな。
 私は君を、殺しはしない。
 が、スタンド使いとしては再起不能になってもらう。
 君の持っている力は危険すぎる。
 これ以上、君のために人を死なせ、傷つけるわけにはいかない…」

 その言葉と同時に、ギアッチョはさらなる窒息に苦しむ事となった。
 厳しく締められる首。
 目の前の男が持つ、「スタンド能力」で自らの首が締められているのはわかっている。
 しかし、スタンドが見当たらない。
 スタンドの影は首の周りにもどこにもないのに、ギアッチョの首には締められている「型」と、窒息感。

 くそ…。
 近くにいねーなら、「スタンドバイミー」のスタンドじゃねーだろ…。
 イラつくぜ…
 チクショオ…。



6.「チーム」ということ




 ギアッチョは遠くなる意識の中、思い起こす。
 彼のチームの受けた屈辱を。
 そして、ここでヘマをするわけにはいかないという事を…
 全ての額縁が揃い、そして誰もが一瞬声を失った。
 ギアッチョのいるチームはもともと9名だった。
 ギアッチョが様々な「敬意」から「暗殺チーム」に加入して半年。
 チームのメンバーであるソルベとジェラートがボスの秘密を探り始めた。
 二人は「チームの待遇を改善させる」ために…
 リゾットの反対を押し切ってまで、危険な賭けに出たのだ。

 結果。
 ジェラートが自宅で窒息死体として発見され、そしてソルベは―この額縁となった。

「しょーがねぇなぁ…。
 死んじまったら、何にもならねーだろ…」
 ホルマジオが寂しげに呟く。

「ア、 アニキッ!
 何で、誰が、こ、こんな!」
 ペッシは動揺と焦りを隠せないでいる。

 そんなペッシに
「うるせぇんだよ!」
 と、ギアッチョの怒声。

「出来もしねーことを口にするからこうなるんだぜ…。
 オレ達の世界じゃ、出来ねーことは口にしちゃ…」
 プロシュートはそう言い放つ。
 まるで自分に言い聞かせるかのように。

 そして、リゾットは…
 全く口を開かずに、額縁に見入っていた。

 バラエティに富んだ暗殺チームだからこその、三者三様の対応。
 しかし、ギアッチョにも他のメンバーにも共通して言える事は…。
 仲間があっけなく二人も殺された事に対する、怒りと悲しみだった。

 しばらくの時が流れ。
 独りの男が、決意と共に立ち上がった。

「オレたちゃチームだろ!?
 仲間の仇取れねーで、どうすんだよ!
 アァ!?」

 ギアッチョはそう言い放つと、すぐにも部屋を出ようとした…が。

 目の前には、何時の間にかリゾットが立っていた。
 ちょうど、立ち塞がる様な形で。

「勝手は許さんぞ、ギアッチョ。
 この件はこれまでだ。
 ソルベとジェラートを埋葬して、何もなかった事にする…
 彼らの行動は、彼らの独断。
 上にもオレからそう報告する」

 普段から感情をあまり見せない男が、さらに冷たい態度で言い放つ。
 その様に、ギアッチョは業を煮やした。

「テメー!
 テメーはこのチームのリーダーだろ!
 部下の仇も取れねぇのか!?
 テメーはオレ達の命よりも、ボスのご機嫌の方が大切なのかよ!
 何のためにソルベとジェラートが犠牲になったと思ってんだ!?
 テメーは犬か!?
 イラつくぜ!!
 テメーのような腑抜けが、オレに指図するな!
 オレはやりたいようにやる!
 いいか、二度と指図するな!」

 言い放った瞬間だった。
 ギアッチョの顔に、リゾットの鉄拳が食い込む。
 ギアッチョはそのまま殴り飛ばされ、部屋の壁に叩きつけられた。
 そして、相変わらずの冷たい言葉―

「とりあえず、今勝手な行動は許さん…。
 犬と言ってくれてもいい。
 ただ、一人で勝手な行動をするな…。
 以上だ」

 リゾットは、他のメンバーにも注意するかのような言い方をして…。
 そして、部屋を出て行った。

 他のメンバーも一連の事態を見て…。
 一人ずつ部屋を去っていく。
 その背中に重い空気を持ったまま。
 そして、ギアッチョとホルマジオが残った―

「ヤロウ…。
 ボスをバラす前に、リゾットをバラしてやる…!
 イラつくぜッ!
 クソッ!」

 ふらふらと立ち上がりながらも、ギアッチョの怒りは収まらない。
 部屋の壁を破壊しながら、奇声交じりの怒声を響かせる。
 それを呆れ顔で見るホルマジオ。

「しょーがねぇなぁ…。
 そういうクチが聞けるんなら、カラダは大丈夫みてーだがよ…」

「黙れッ!
 テメーもあの腑抜けのカタ持つのか!?
 バラすぞ!?」

 しかし、その怒声に臆することもなく、呆れた口ぶりでホルマジオは喋り続ける。

「ちゃんと話を聞けよな、しょーがねーな…。
 お前より、俺達他のメンバーの方が2人との付き合いは長いんだぜ?
 特にオレとリゾットは暗殺チームにいる期間が長いからな…。
 リゾットだって、すぐに仇を討ちたいと思ったはずだぜ。
 アイツは…
 誰にも死んでもらいたくないって思ってるからな…。

 それによ、オレ達の稼業はナメられちゃ終わりだ。
 今までオレ達をナメたヤツは、みんなブチ殺してきた。

 だけどな…
 今回は特別だ。
 ボスに関して、オレ達は何も知らねぇ…。
 ここで勝ち目のねー戦いをしても、しょーがねーだろ…。
 テメー一人の能力は、ソルベとジェラート2人合わせた分より上だっていうのか?
 これ以上、リゾットは仲間を失いたくねーんだよ…」

「だから腑抜けっていうんだよ、テメー!
 仲間のカタキ取れねーで、何が仲間だよ!」

 ホルマジオに浴びせられる怒声は続く。
 いや、その勢いには時とともにさらに拍車がかかり続け。

「しょーがねーな…
 ギアッチョ、テメーそのまま奥を見てみな…
 あそこの地面だよ…」

 ギアッチョは呆れ顔のホルマジオに今にも噛み付かんという表情を持ったまま、その指の先を見る。
 そして、ギアッチョは…
 動く事も、怒ることも出来なくなった。
 そこに残された雫はリゾットの心―

  ホルマジオは呟く。
「リゾットは…優しすぎるぜ…。
 ま、しょーがねーな…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ギアッチョは呼吸困難で薄れゆく意識の中、さらに考える。
 ここでこんなクソヤロウに負ける訳にゃいかねぇ…。
 任務は大切だ。
 プライドもある。

 だけど、そんなものより前に…
 オレを信頼して命令してくれた人のためには、負けるわけにはいかねぇ…
 リゾットのためにも…



 手足のもがきが納まってきたギアッチョに対して、J・ガイルは出来るだけ優しく言葉をかける。
 余裕を持った大人が、子供に言い聞かせるように。
「私の宗教の教義により、殺しはしない…。
 ただ、君は危険だ。
 スタンド使いとしては『再起不能』にさせてもらう…。
 まぁ、もう聞こえてないと……!?」

 言いつつ、J・ガイルは異変に気付く。
 寒い…だけでない?
 こいつのスタンド能力は、一体!?


II.考えること


 わたしが見てて、わかった事…
 彼らはそれぞれの「正義」を持っているようだ。
 そのお互いの「正義」がどんなものなのか、当然ながらわかりはしない。
 わかった所でわたしにはどうでもいい事だが。

 人間は。
 いや、わたしみないな「存在」も含めて。
 互いに利害を考えない人間関係なんざ成立しない。
「無償の愛」と言ったって、結局は相手に自己満足を提供してもらう行為だ。
 じゃあ、利害関係は最初どっちから発生するんだ?
 正義とか、友情とか。
 そういうのは、どっちから発生するんだ?

 あと、何でそんなあやふやなものに人は執着してしまうんだ?
 理由は?

 よく生きたいか?
 プライドを保ちたいか?
 後に「遺産」という形で残したいか?
 安心を求めるか?
「真実」をいつの日か見つけ出すためか?
 それとも、一段上のステップに立ちたいのか?

 よく生きても、安心できても、最後は一緒だと思うが…
 死者のわたしからしたら。

 本当に、こういった事が確実にわかれば、わたしも『目的』を持った生活が送れるかもしれない…

 しかし…
 どうも戦っている彼らには不思議な能力があるようだ。
 よくわからないが、メガネの男は首を締められたようになっていたし、もう一人の方
 も何かを感じてあせっている感じがする。
 わたしには何かわからないし、わたしと「同じ存在」の協力でもない。

 しかし…
 何か、こういった戦いは懐かしい感じがする…



7.形勢逆転


 ドスゥ!
 ドゥオーモ内に鈍く響く、「何か」が落下する音。
 J・ガイルには事態がすぐには飲み込めなかった。
 ほんの一瞬の出来事。

 ギアッチョが、抵抗できないはずの彼が手を振りかざした。
 そして、それによって何かが起きた。
 地面にはどこか見覚えのあるものが転がっている。
 それは、長年自分の目の届くところにあったもの。

「テメぇ…
 甘いんじゃねーのか…?
 『サイキフノウ』だと…?
 なめやがって…
 イラついたぜ…」

 苦悶の表情にかすかな嘲笑を含めて、ギアッチョは何とか声を出す。
 …その腕には、振り回した方の腕には、透明な「刃」が生えていた。
 J・ガイルの血をも含み、真っ赤に染まった「氷の刃」が。

 そう、J・ガイルは完全に「見謝って」いた。
 J・ガイルはミスを二つ犯した。
 ひとつは、ギアッチョの能力を「周りの温度を寒くするだけ」と過小評価したこと。
 そしてもうひとつは、宗教の教義にとらわれ、勝負の非情さを持つことが出来なかったこと。
 その代償が、この血と、痛みと、そして「右腕」…
 怜悧な刃によって断たれた「腕の部分」は、J・ガイルの口と同時に悲鳴を上げた。

 しかし、ギアッチョも期待通りの結果を得られた訳ではなかった。
 呼吸困難を避けるために、意識朦朧の中切り落としたのは、男の「右腕」。
 今自分の首を締め続けているのはスタンドの「右腕」。
 地面に転がっているのもヤツの「右腕」―どうなっている!?

「…す、少し、君を、侮ったようだ…。
 『油断大敵』とはよく言ったものだ…。
 失礼を、わびよう…。
 だがこの手は離さん!

 そして…
 止血までに残された時間もわずか!
 一気に…
 刺し倒す!」

 J・ガイルにも先ほどの余裕はもはや、なかった。
 そのスタンドの「右腕」にもさらに力が入る。

「悪いが…
 死んでもらう!
 君はあまりに危険だ!」

 さらに締め上げられる首、そして振り下ろされるナイフ!
「ハングドマン」は心臓に向けて正確な動作でナイフを突き立てる!

カァァァァァン!!

 しかし、その行動に返ってきたのは、J・ガイルの予想を覆すものだった。
 高く響くナイフの反響音
 急に硬度の増した「首」の手応え
 そして…
 怒りの形相を向けたままのギアッチョ。
 いつの間にか強固な「鎧」に守られた彼は、さらに憤怒を募らせていく。

「テメー…
 『右』ってどっちかわかってんのか?
 アア?

 …
 テメー、左腕も右腕なら…
 フレミングの法則をどうやって覚えたってんだよ!
 ガキの頃、食器は右手に持ちなさいって言われた時、どうしてたんだよッ!?
 第一、左側についてる方は『左腕』で、いくら逆になってても右腕じゃねーだろ!
 ああ!?
 クソ、イラつくぜッ!」

 そして、J・ガイルの顔に「氷の塊」がめりこんだ。


8.血の砂時計を共に抱きて



 ギアッチョの「氷のパンチ」を喰らって、J・ガイルはなすすべなく吹っ飛ばされた。
 完全に、思い描いていた計画は失敗した。
 氷の鎧を作り、それを纏えるほどの強大なスタンドパワーを、目の前の男が持っているとは思わなかった。
 母も、DIOすらも知らなかった、この強大なスタンド使いの正体は?
 この男の「能力の限界」は?
 どうして同じスタンド使いと戦うという危険を冒してまで、リズの持っているものにこだわる?

 多量の出血、そして頭部への打撃。
 J・ガイルはフラフラする頭で、ぐるぐると疑問を回し続ける。

「テメーのスタンド…
 たいした力はねーみてーだなッ!
 テメーにオレは殺れねぇ!
 氷の鎧、ブチ抜いてみろ!
 オレを刺し倒すんだろ?
 アア?」

 しかし、ギアッチョの挑発に対して、J・ガイルが返せるものは―
 虚しく響くナイフの反響音だけだった。

 そして、それに対する応酬は、氷のブーツのストンピング…。
 重さが、全く違う…。
 J・ガイルは最初手を抜いた事を後悔しながら、苦しみ悶えた。

 それを、優越感に浸りながら見下ろすギアッチョはこう嘯く。

「テメーに用はねぇんだよ!
 このロリコンヤローめ!
 後でもっといたぶってやるぜ!

 だけど…
 オレの用事を、先に済ませないとなァ!」

 言い終えたギアッチョは、足部から突き出たブレードで、地面をスケートのように
 滑っていく!
 そして…
 その視線と方向の先には、リズ!

「宝石なんか砕けてもサバけるもんだぜッ!
 オレ達は、ある程度のカネさえ入ればいいんだッ!
 ガキは邪魔だァァァ!!!」

 リズは…
 足がすくんで、完全に動けないようだった。
 激しく泣きながら、ギアッチョの「刃」を待つ形となっている!

「やめろォォォ!!!!!!!」

 J・ガイルの叫び声と、ギアッチョの刃は同時に発せられた。
 しかし、そのギアッチョの目の前に広がったのは、「血の赤」でなく、リズの手の中からの「赤い光」―

 誰にも、何が起こったのかわからなかった。
 ただ、激しい光が刃を通して、ギアッチョの「右腕」に伝わる。
 その光は、どこか暖かく、優しく―
 しかし、恐ろしいまでの「力」を持って!

ドギュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥン!

 金属に弾丸がブチ当たるような独特の音が、ドゥオーモ内に反響する。

 聞くものが聞けば、この音の解釈がついただろう。
 リズの誇り高き血統を知る者がいれば、驚きもしなかっただろう。

 そして…
 ギアッチョは飛ばされる!
 全身に「電気」が走ったような衝撃を受けながら!
 その右腕の「鎧」を吹き飛ばされ!

ドアアアアアッ!

 ギアッチョは派手な音を立てて、地面に落下した。
 その時、ギアッチョの目に映ったもの。

 それは、目の前に転がっているJ・ガイルの水筒と、そこからこぼれる水、そして水に映っている自分と…!?
 考えを巡らせた刹那。
 ギアッチョの右腕に「冷たい」感覚が走る。
 自分がさっき、「ロリコンヤロー」に与えた感覚―

 今、わかった…。
 初めてこいつのスタンドを見た。
 こいつのスタンドは…
 イルーゾォと似たようなもんかッ!?

 そんなギアッチョの苦悶と混乱、そして絶叫に、J・ガイルは弱々しい声で返す。

「これで…
 おあいこだ…
 君も私も、『血の砂時計』を抱いて…
 お互い、死力を尽くし、そして私が生き残ろう!」

 J・ガイルは思う!
 少女の命を救う!
 その事が…
 それが、シェリーへの贖罪であり、ポルナレフへの謝罪だと!

「テメー…
 さっき『殺す』って言いやがったな…
 オレの仲間が『殺してやるってのは殺してから言え』って言ってたぜ…!
 オレは…
 テメーをブッ殺してから言ってやる!
 『ブッ殺した!』ってよォ!」

 ギアッチョは思う!
 仲間の成功のため!
 オレの利益のため!
 そして…
 何より、リゾットのために、オレは負けられない!
 これ以上、リゾットに無用な涙を流させない!


 二人の男の傍らでは…
 リズが、泣いていた。
 たくさんの血。
 たくさんの憎しみ。
 たくさんの光景。
 今までに自分が見たことのない、体験したことのないものの数々。

 リズが、エイジャを握り締めて泣いていた。



III.それぞれの「大義」



 わたしは目の前の「死闘」というものを見ながら、考える。
 彼らはお互いの片腕を失いながらも、闘う事を止めようとしない。
 なぜだ?

 わたしは一度「始末者」のために、片腕を捨てた事がある。
 この時は、わたしが「生き残る」ために必死だった。
 片腕を捨てても闘うのは当然だろう。

 だけど、彼らに闘う理由はあるのか?
 そっちのメガネ男は宝石を狙ってるだけだ。
 別に無理して闘う必要があるとは思えない。
 カネが欲しいなら、銀行を襲えばいい。
 彼の実力なら、充分可能だし、そっちの方が安全だろう。

 逆の、顔に模様がある男に至っては未だに闘っている理由がわからない。
 なんで、それなのにお互い「命をかけて」闘っているんだ?
 彼らを突き動かしているもんは何だ?
 そんなものを、わたしは「持って」いないのか?

 彼らに対して非常に興味を抱いた。
 この戦いの結末がどう、とかではない。
 彼らの戦う理由、それさえ上手く理解できれば、わたしにも存在する理由というのがよくわかるかもしれないから。

 外の日は暮れていく。
 今晩はいつもの「平凡な夜」と違って、楽しそうだ―






To Be Continued !!


日陰に息をひそめる男たち、その背に負った深き業……!
過去への贖罪、仁義なき復讐!

運命はッ! いずこへと向かって車輪を回す?
少女の手にした宝石が礼拝堂の闇に照らし出しすものは? 
そして死者は何を想う……?

J・ナッシュさんと戦慄の雲さんは、最終ラウンドに向けて、それぞれ自分のキャラの『理想の決着』及び、『それを得るための手段』などをテキトーに書いてメールでお送り下さい!


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対戦ソース

J・ナッシュさんの「J・ガイル」 / 戦慄の雲さんの「ギアッチョ」


この対戦小説は J・ナッシュさんと戦慄の雲さんの対戦ソースをもとにかいがらが構成しています。
解釈ミスなどあるかもしれませんがご容赦ください。
J・ナッシュさんと戦慄の雲さん及び、J・ガイルとギアッチョにもありがとう!

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