Story Tellers from the Coming Generation! Interactive fighting novel JOJO-CON

梅干しさんの「フォーエバー」

VS

グレェェトさんの「岸辺露伴」

マッチメーカー :海月なみ
バトルステージ :動物公園
ストーリーモード :Semi Fantastic Mode


双方向対戦小説ジョジョ魂



ROUND  3

救い手は哀れみ深く

 

1.遭遇

 

フォーエバーは悲鳴のした方向へと走っていった。

”一体……一体、何が起こっているんだ!?”

暗くてよく分からないが、一人の人間が苦しみもがいているようだ。

その周りに雲霞のごとく小さな虫が群がっている。

”まさか……”

フォーエバーが近づくと、虫が人間を襲っているのが目に入った!

「ギッ!」

フォーエバーは、とっさにスタンドを発現した!

屋根のトタンが一人でにはがれ、闇の中へと飛んでいく!

バシィッ!!

トタンは虫の群にヒットした!しかし大ダメージを与えるには至っていない。

「?」

よく目を凝らすと、向こうに一人の人間が居る。

”アイツが本体か!?”

フォーエバー

「ギィ!(待て!)」

フォーエバーは後を追い走っていった。すると今まで嗅いだことのない甘い匂いが

フォーエバーの鼻を突いた。

”何だこのニオイは……”

フォーエバーは思案を巡らした。その時、

ブゥゥン……

攻撃を受けた虫の群がフォーエバーめがけて襲ってきた!

「グェ!ギィ!」

フォーエバーが虫を払おうとする間に、本体らしき人影は何処かへと走り去っていく。

”ど、どこだ!?”

フォーエバーが注意を向ける間もなく、虫の群は闇に消えた。

気が付くとどこにも人の影はなく、代わりに一匹のニシキヘビが横たわっていた。

フォーエバーはヘビを拾った。すると、

”!!”

ニシキヘビの腹に、人の顔のようなものが浮かんでいる!

「う……うう……」

顔は呻くと、腹に吸い込まれるようにしてすぐに消えた。

”逃げられたか……”

フォーエバーは漆黒の闇を睨みつけた。

嵐の過ぎた戦場を、冷たい風が通り抜けた。

 

2.露伴の決意

 

アンティーク調の洒落た机の上に、新聞の切り抜きやメモが散乱している。

「うーむ……」

露伴は書斎で、事件についての記事や事実を整理していた。

今週分の原稿はすでに編集者に渡してあるので、〆切の心配は無かった。

「…………」

”攻撃したのは動物園内部の人間……だとすると動機は……?”

大畑洋二郎の同僚は中澤、佐藤、大西、池田の4人。

しかし、この4人には特に洋二郎に恨みを抱いているような感じはなかった。

"やはり自分で詳しく調べてみないと分からないか……”

露伴は冷えたカプチーノを一気に飲み干すと、切り抜きとメモをカバンに入れ席を立った。

 

 

「ここだな……」

露伴は小さな建て売り住宅の前に足を止めた。

その表札には「大畑」と表記されている。

露伴はインターホンを押した。

ピンポーン……。

「……どなたですか?」

年輩の女性の声がした。

「あの……大畑洋二郎さんの件でお伺いしたいことがあるのですが」

「……お引き取り下さい。マスコミの取材ならお断りです。」

途端に声が険しくなった。しかし露伴は引き下がらない。

「僕に話を聞かせてもらえれば、きっとお役に立つと思いますよ。」

「……少々お待ち下さい」

インターホンの声が切れ、玄関から出てきた女性に露伴はリビングに通された。

女性の名は道江といい、洋二郎の妻だと言った。

「主人は……園での仕事に大変情熱を燃やしていました。最近はどこからか漂流してきた

オランウータンを保護したといって、その世話に忙しそうで……」

フォーエバーのことだ……と露伴は思った。

「あの日だって、主人は笑顔で園に出かけていったんです。『今日も忙しくなるぞ』……と。

だから、晩ご飯にもあの人の好きな豚カツを用意して……」

道江はそこまでいうと、不意に涙ぐみ、ハンカチで目頭を押さえた。

「……」

人がひとりいなくなる事なんて大した事じゃないと思っていた。ほんの少し、前まで。

でも……今は……。

露伴ちゃん、あたしがいなくなったら寂しいって泣くかしら?”

かつて自分を救ってくれた少女の声が、不意に露伴の脳裏に蘇った。

「……奥さん」

露伴の声に道江が顔を上げた。

「ご主人はきっと……きっと探してみせますから」

露伴は道江の目を見つめ、強く語った。

 

3.発見

 

露伴は洋二郎の家を尋ねた足で、動物公園へと向かった。

”……アイツはどうしているかな……”

露伴はフォーエバーの檻の前へと歩いた。

”オイ!露伴か!”

露伴の姿を見つけたフォーエバーが木の陰から出てきた。

”待ってたぜ!昨日アイツが現れやがった!!”

「何!?」

露伴は思わず口に出して叫んだ。

”……アイツ……やっぱりスタンド使いか!”

”ああ”

”とりあえず、詳しい話を聞かせてくれ”

フォーエバーは、一連の事件の事を語った。

”……確か、男の悲鳴が聞こえてきたんだよ。それから変なハチみてーなのが飛んできて、

オレは思わず攻撃しちまったんだが、逃がしちまった”

露伴はフォーエバーの話したことを逐一記録した。

”他には?何でもいい。気が付いたことが有ればなんでも言ってくれ”

露伴はフォーエバーに食い下がった。

”そういえば……なんか、アイツが逃げた後に変な香りがしたんだよな……”

”香り?”

”ああ、何か甘いような渋いような、濃厚な香りだったな……”

”悪臭……じゃないのか?”

”いや、むしろ香水みてーな、いい匂いだったぜ”

”ふーむ……”

何かの手がかりになるかもしれないな、と露伴はメモした。

 

自宅に戻った露伴はアールグレイを飲みながら、再びメモと格闘していた。

新たに聞いた話では、今度は中澤という飼育員が行方不明になったらしい。

”この間食ってかかってきた男か……”

露伴は机に一帯の地図を広げた。

洋二郎の同僚4人の住んでいる場所がマークされている。

”……佐藤は杜王町近くの住宅地。中澤は駅前のマンション。大西は杜王町の一軒家。

池田は……動物公園の近くのマンションか”

露伴は中澤の住所にバツ印を付けた。

「とりあえず、こいつらの住んでいる近所で聞き込みでもするか……」

杜王町の夜は静かに更けていった。

 

「はぁ……」

連日の捜査にさすがに疲れたのか、露伴の足取りは重い。

結局、聞き込みでは有力な情報を捕まえることは出来なかった。

露伴は昨日と同じく、フォーエバーの檻の前に来た。

「おうい、フォーエバー」

露伴がやや小さい声で呼びかけると、フォーエバーがやってきた。

”おっ、露伴。調子はどう……”

と言いかけた所で、フォーエバーの表情が険しくなった。

”お、お前!!”

”ん?”

”お前、なんでアイツと同じ匂いさせてんだよ!!”

”は?”

露伴は戸惑った。

”匂いって……僕は別に香水なんかつけてないが……”

露伴がそう思った所で、はたと気づいた。

”そうか!!”

「ありがとう、君のお陰で犯人の目星がついたよ」

”な……何!?おい、ちょっと待て!”

露伴は駆け足で動物公園を出ていった。

 

露伴は急いで四神峰近くの住宅地に向かった。

最近増えてきたプロヴァンス風の建て売り住宅が並んでいる。

「!」

とある家、その庭に薄紫色の小さな花が何十と咲き誇っている。

”やっと……分かった……”

露伴の顔から会心の笑みがこぼれた。

 

彼女は狙っていた。自分の次なる標的を。

”……もうすぐ、楽になれるからね……”

夜の動物園は人もなく、ライトの光が寂しく辺りを照らしている。

彼女はその中を足早に急いでいた。

その時、彼女の足下にぽとりと何かが投げ込まれた。

「……?」

手に取ってみると、それは薄紫の小さな花を付けた草だった。

「ベルガモット……渋みを含むフローラル系の芳香を放つハーブの一種……。

その香りをつけた紅茶はアールグレイと名付けられて広く流通している……」

突然、自分に語りかける男の声が聞こえてきた。

「誰!?」

薄暗がりに問いかけると、中から腕を組んで男が現れた。

岸辺露伴その人である。

「この花を育てていたのは四神峰の住宅地に住む婦人……そして、その隣に住んでいるのが

佐藤祐子……君だ!」

露伴に名を呼ばれ、彼女は振り返った。

それは、先日露伴が出会った女性の飼育員であった。

 

4.むらさきのゆめ

 

祐子は露伴の方に向き直った。

「君がやったんだな?」

祐子は肯定するように微笑んだ。

「露伴さん……でしたっけ?お願いですから、私の邪魔をしないで下さい。

私は別に、あなた方と戦う気はありません。……ケンカするの嫌いですから」

「……君にその気はなくても、こっちの都合というものがある」

露伴は冷たく言い放った。

「君は自分の同僚達を次々と動物と合体させていたんだな……そして今日も……

何故……何故こんな事をする?お前の目的はいったい何なんだ?」

露伴は祐子に聞いた。

どんな状況にあっても情報を集めずにいられない、それが露伴の性だった。

「……」

すると、祐子はうつむいて瞳を潤ませた。

今にも壊れてしまいそうな、儚く脆く、切ない表情だった。

「……私が高校2年生の時に、お父さんが死んだんです……まだ45歳でした」

「!?」

突然自分の身の上を話し出した祐子に、二人は戸惑いを隠せなかった。

露伴の反応をよそに、祐子は話し続ける。

「父は大変仕事熱心な人で、ずっと休日返上で働きづつけていました。そして……

8年前の冬、突然心不全で亡くなりました。

商品の納期が迫っていて、会社で徹夜を繰り返していて、その無理がたたって……。

過労死だった……と思いますが、会社からの労災はおりませんでした」

祐子はさらに続ける。

「その時に私思ったんです。どんなに働き続けていたって幸せにはなれない。

みんなで仲良く安らかな時間を過ごして生きていくのが、本当の幸せだって……

数ヶ月前……道を歩いていたら突然奇妙な矢が私の体を刺したんです。

それからこの能力が発現して、……私はその時、”ああ、これは神様からの贈り物なんだ”

って思いました」

”……吉良のオヤジか……?それとも、仗助の言ってた形兆ってヤツか……?”

露伴は二人の情報を思い出した。

「この能力で動物と一体になれば……ずっとずっとこの動物公園で世話をしてもらって、

安心して日々を過ごせる……」

祐子は二人を見つめて、にっこりと、暖かく穏やかな微笑みを浮かべて言った。

「……素晴らしいでしょう?」

「…………」

露伴は絶句して、ただ祐子の瞳を覗いていた。

体の奥から震えがくるのを押さえきれなかった。

”こいつは……”

こいつは……悪、正真正銘の邪悪だ!

……いや、もう『邪悪』という言葉すら追いつけない程、こいつの心は歪んでいる。

ただ純粋な『狂気』!……それだけが、この女を支配している!!

多くの飼育員を動物と合体させ、露伴と対峙している今に至ってもなお、彼女の微笑みは

慈愛に満ちていた。

「さぁ……一緒に行きましょう」

祐子はゆっくりと手を差し伸べた。

 

5.戦闘開始!

 

「ヘブンズ・ドアーッ!!」

露伴は祐子に向かいスタンドを発現させた!

「させないわよ!!」

祐子の周りに、突如スズメバチの大群が出現した。

しかもその色は皆、毒々しい紫色に染まっている。

「行け!『セイヴィアー!!』」

祐子のかけ声と共に、無数の紫色の蜂達が露伴に襲いかかる!!

「フォーエバー!!」

露伴が叫ぶのと同時に、地面からせり上がった木の根が蜂達をはじき飛ばした!

「ギギィ!」

屋根の上から一つの影が下りてきた。フォーエバーである。

フォーエバーは露伴に言われ、屋根の上で待機していたのだ。

「な……オランウータン!?」

祐子は呆気にとられた。

「逃げるぞ!フォーエバー!!」

その隙に二人は別方向に別れて走り出した。

「逃げるなんて……」

祐子の表情がぎしり、ぎしりと歪んでいく。

悪い子達……

祐子は憎々しげに呟き、猟犬のごとき形相で走り出した。

 

To Be Continued……



オランウータン&漫画家、絶妙の連携捜査! ついに事件の真相が……

行方不明の職員たちは園内の動物と合体させられていた!
意外なるその動機! 戦慄の事実! 歪んだスタンド能力!

どう立ち向かう? どう解決する!? それとも……???

というわけで、ラウンド4まで続いちゃいます。
梅干しさんとグレェェトさんは、最終ラウンドに向けて、それぞれ自分のキャラの『理想の決着』および、『それを得る為の手段』などをテキトーに書いてメールでお送り下さい!


ラウンド2へ / ラウンド4へ / トップページへ戻る

対戦ソース

梅干しさんの「フォーエバー」 / グレェェトさんの「岸辺露伴」


この対戦小説は 梅干しさんとグレェェトさんの対戦ソースをもとに海月なみが構成しています。
解釈ミスなどあるかもしれませんがご容赦ください。
梅干しさんとグレェェトさん及び、フォーエバーと岸部露伴にもありがとう!

inserted by FC2 system