Story Tellers from the Coming Generation! Interactive fighting novel JOJO-CON

梅干しさんの「フォーエバー」

VS

グレェェトさんの「岸辺露伴」

マッチメーカー :海月なみ
バトルステージ :動物公園
ストーリーモード :Semi Fantastic Mode


双方向対戦小説ジョジョ魂



ROUND  2

通り雨

1.捜査開始

 

露伴は携帯電話をしまうと、再びカンガルーの檻へと足を運んだ。

まだ承太郎が到着するには時間がある。

”行方不明の飼育員……人間の言葉を喋る動物……”

露伴が檻の前に立つとあのカンガルーが現れた。

その体には相変わらず苦悶の表情を浮かべた男の顔が浮き出ている。

”こいつはさっき、人間の言葉を喋っていた……。ならばきっと……”

「ヘブンズ・ドアーッ」

ズギュゥゥンッ!!

浮かび上がっていた男の顔が本状に開いた!

「なになに……名前は大畑洋二郎……年齢は48歳……この動物公園でもう13年働いている……」

……ビンゴだな……やはり、ここの飼育員だったか……」

露伴はニヤリと笑った。

「2週間前、『話したいことがある』とこのカンガルーの檻まで呼び出された」

”呼び出された……ということは、もしや犯人は飼育員?”

「そこでしばらくいろいろと話をした。『素敵なバラだねぇ』『業務がキツイ』?そして……」

露伴がそこまで読んだ所で突如、ページが膨らんだ。

「!?」

露伴が能力を解除する間もなく、数十匹ものオレンジ色の小さな生物が、本を突き破って現れた!!

「シャゲエェェーーッッ!!」

「なにぃッ!!」

”こ……これは、無数の、「蜂」ッ!?”

”しかもこれは……スズメバチ!?”

確かにそれらはスズメバチに酷似していたが、体の形や模様が微妙に本物と違っていた。

”まさかこいつら……スタンドか!”

「蜂」の群れは一勢に露伴に向かって襲いかかってきた!!

「うおわぁあッ!!!?」

露伴は必死に「蜂」を手で振り払ったが、全て追い払えるはずもなく、何匹かは露伴の手や首に

針を突き刺した。

「ぐッ!」

針で刺された部分はみるみるうちに赤く腫れ上がり、露伴は激痛に襲われた。

「蜂」の群れは露伴に攻撃を加えると、静かに姿を消していった……。

「今の……蜂……スタンドだった……やはり、居る!!スタンド使いが!!」

”もしかして、誰かがこの「洋二郎」のことを調べようとしたら、自動的に攻撃するように差し向け

られていたのか……?”

この男を攻撃したのは、飼育員の誰か……。

きっとこの園内に居る……邪悪な性根を持ったスタンド使いが!!

露伴は不意に立ち止まり、にやにやと満面の笑みを浮かべた。

「ふ・・・フフ、フフフフ・・・」

その口からは知らず知らずのうちに、笑いがこぼれてくるのだった。

”素晴らしい……素晴らしいぞッ!この体験ッ!!……この戦慄と恐怖感!……僕の漫画に存分に

活かせそうだ……!”

露伴は笑顔を浮かべたまま、拳を力強く握りしめた。

彼は”不可解な現象に遭遇した”という恐怖とは裏腹に、格好の題材を手に入れた喜びを

押さえきれずにいるのだった。

”この事件……もっと深く探る必要がある!僕の成長の為に……!”

 

2.対峙と追跡

 

二人の飼育員が自動販売機の前で話をしている。

「中澤さん、あのぅ……早く勤務に戻らないと、また竹本さんに怒られますよ」

髪をポニーテールにしばった女性が、不機嫌な顔で缶ジュースを飲んでいる男をなだめていた。

「知るかよ。大体あんなヤツに命令される覚えはねえ」

「そんな……竹本さんだって、いろいろ忙しいんですよ?そんな事言っちゃ……」

佐藤と呼ばれた女性が、おどおどとして反抗した。

しばった髪の上で、鮮やかな赤いバレッタが揺れている。ある女性歌手のつけていたアクセサリー

を真似たらしい。

「なぁ佐藤、お前だってさんざんこき使われてんだろ?あいつも消えてくれれば助かるんだけどな。

他の連中みてぇによ」

「中澤さん……!」

佐藤が食ってかかろうとした、その時、

「すいません……ちょっと取材でお話を伺いたいのですが……」

二人の後ろから、露伴が声を掛けてきた。

「取材?ってなんの取材ですか」

「この一ヶ月間にいなくなった、飼育員の人達の事です」

「!!」

露伴は大胆かつ、無遠慮に言い放った。

中澤と佐藤は互いに顔を見合わせた。

「あんた……一体どこでそんなこと聞いた?」

中澤が強ばった顔で聞いた。

「他の飼育員の方が噂してたのを耳に挟んだんです。僕、そういう不思議な話に興味があるので」

「ちっ……なんでテメーに話さなきゃなんねーんだよ」

「そこをなんとか……」

「うっせーな。話すことはねぇって言ってんだろ!」

中澤は声を荒げた。

「そうですか……」

露伴は言葉を切り、右手を上げた。

「ヘブンズ・ドアーッ!!」

ドーンッ!!

二人は一瞬にして本になった!!

「どれどれ……ちょっと調べさせてもらうか」

 

フォーエバーは事の一部始終を目撃し、驚愕した。

”この男・・・・スタンド使いか!?一体何をしようとしているんだ!!”

もし、あの男をこのままにしておいたら……!

フォーエバーは男のいる方向に意識を集中させた。

 

露伴は本となった中澤の頭部に手を掛けた。すると、

ドヒュン!!

「!!」

水道のコックが、鋭い音を立てて露伴の元へと飛んできた!

「なっ!!」

”これは……さっきの「蜂」のスタンドとは別のヤツか!?”

露伴はとっさに身をかわし、二人にかけていたヘブンズ・ドアーを解除した。

”とりあえず……この二人の方はお預けだな”

露伴は身構え、辺りを警戒して見回した。

”さっき飛んできたのは水道のコック……物体のスタンド!!”

”だれも怪しい素振りをしているヤツはいない……とすると、これは遠隔操縦型?”

チリチリ……バシィッ!!

自動販売機が爆発を起こし、露伴に火花が散った!

「うわッ!」

露伴は床を転がり、間一髪で火花を回避した。

”く……くそ!何処だ!早いところ本体を探さないと……!”

 

フォーエバーは露伴を冷たい眼で見据えた。

もし、アイツがヨウジロウや、他の飼育員達に危害を加えていた人間だったら…………

……生きて帰すわけにはいかない。

何者であろうとも……この動物公園に手を出す者は許さない!!

 

”物体”の攻撃は、執拗に露伴を追い続けた。

露伴は自分を攻撃するスタンド使いをさがし、公園内をかけずり回っていた。

本体が見つからない限り、ヘブンズ・ドアーで攻撃することもできない。

”何故だ……何故コイツは僕を狙ってくる!?”

”そして一体、どうやって僕を観察しているんだ!?”

飛んでくる椅子やテーブルをかいくぐり、露伴は走り続けていた。が……

「!」

ドサッ!

地面につまづき、露伴は地面に突っ伏した。

「くっ……」

痛みをこらえて露伴は立ち上がろうとした。その時、

「…………!」

”こ、この道……”

”何か……様子がヘンだぞ……何かが……”

辺りの様子が微妙に変化している……露伴の優れた観察眼がそれを捕らえた。

露伴は道路を食い入るように見つめ、そして悟った。

”……そうか、そういう事か……”

露伴はしっかりした足取りで立ち上がると、入場客の多くいる方に向かって走りだした。

”逃げるつもりか……だが、させるものか!”

「いた!」

露伴はタバコを吸っている男をみつけ、走っていった。

 

”なんだアイツ、一体何をしたんだ……?”

男は通行人に何かをしたように見えたが、それが何なのかはよく分からなかった。

フォーエバーは露伴にさらなる追い打ちをかけようとした。すると、

「?」

妙なこげくさい異臭が、フォーエバーの鼻を突いた。

下を見たフォーエバーは愕然とした。

「!!」

”け……煙!?”

なんと、木の下から白い煙が立ち上ってくる!!

 

露伴は街路樹を見上げて言った。

「道を見たら……僕の通ってきたところの脇道だけ、多く木の葉が落ちていた……それで思ったんだ。

”もしかしたら本体は木の上にいるんじゃぁないか?”って……だから」

”も、燃えてる!!オレの登っている木が!!”

白い煙は徐々に勢いを増し、フォーエバーの所にまでせまっていった!

「さっきタバコを吸っていた男に書き込んだんだ……”持っているライターで落ち葉に火を付ける”

ってな……」

「ウギャァー!」

フォーエバーはたまらず地面に飛び降りた!

”こ、こいつ、自分の為に公園中を火の海にする気か!?とんでもねー極悪人だ!!

「まあ、生きている木だから強く燃えることはないけどな。ともかくこれで……」

「ギッ!?」

フォーエバーは露伴の姿に気づき、後ずさった。

「ようやくお前と対面できた訳だ……覚悟はいいか?」

露伴はフォーエバーを見下ろし、不敵に微笑んだ。

 

 

3.ガラスの雨

 

「全く、オランウータンがスタンド使いだったとは……エドガー・アラン・ポーも驚きだな」

露伴は昔読んだ探偵小説を思い出した。

露伴はじりじりとフォーエバーに近づいき、間をつめていく。

フォーエバーは露伴を睨み付けた。

”オレの事がバレた……こうなったら、コイツをしとめるしかない!!”

どうもコイツの能力は、相手に何かを見せて本に変えてしまうものらしい。

確かに近距離で闘ったら空恐ろしい相手だ。だが……。

フォーエバーはニヤリと笑った。

突然、街灯のガラスが割れ、露伴に降り注いだ!

「なん……!」

露伴がかわす間もなく、その破片が露伴の右手を突き刺した!!

「グワァッ!!」

露伴は思わず右手を抱えて、地に崩れ落ちた。

その手から赤い血がしたたり落ちる。

”攻撃の前に両手を封じれば、なにも恐れる所はない”

”思い知れ……テメーにはハナクソの一つもほじらせねーぜ!”

メキリッ!と音がして露伴が顔を向けると、うねうねと黒い網のような物が露伴に近づいてきた!!

”フェ、フェンスが……!

よける間もなく、フェンスは露伴の体に巻き付いた。

鉄のフェンスが生き物のように、露伴の体をしめつける!

「が……!」

露伴は両腕を封じられ、肺から逆流してきた息を吐きだした。

”こ……呼吸が……窒息する……!”

露伴は必死に喉を動かし、空気を飲み込もうとした。

「ギィィ!!」

フォーエバーは勝ち誇った顔で笑みを浮かべた。

メキメキィッ!!

「ぐおッ!!」

フェンスの締め付けがさらに激しくなった。露伴は肋骨がきしむ音を感じたような気がした。

”どうだ、もう反撃できないだろう?”

苦しむ露伴を見るフォーエバーに、

「ほ、本当は……」

露伴はかすれた声で言った。

「本当はイヤなんだ……自分の……主義に反するから……」

「?」

フォーエバーは困惑した。全く露伴の言っている意味がつかめない。

「僕は漫画家だ……体操選手じゃあない……!」

そう言い終わるや否や、露伴は右足を鶴のように高々と上げた。そして……。

「ヘブンズ・ドアーッ!!」

ドーンッ!!

露伴は右足で空中に「ピンク・ダークの少年」を描いた!

「ウギィーッ!?」

見た瞬間、フォーエバーの頭部は本になった!!

「だからイヤだったんだ……体操はニガテだったから……」

ドサァッ!

フォーエバーが倒れたのと同時に、露伴を締め付けていたフェンスから力が抜けた。

露伴は、今や唯の物体となったフェンスを押しのけると、フォーエバーの側へ腰をかがめた。

「……とりあえず、調べさせてもらうぞ……もう闘いたくない相手だからな」

遠くに入場客の騒ぐ声と、消防車のサイレンの音が聞こえた。

 

4.真実を追って

 

「すごい……スゴイぞ……まさか空条承太郎さんと闘っていたとは……驚いたな、予想以上だ……」

露伴はフォーエバーの記憶を読み、その内容に驚愕していた。

特に数年前、承太郎の戦いは露伴を高揚させた。

「……これはこの件にはあまり関係ないな……」

露伴はさらに先の記憶をたどっていった。

”これは……”

「昔、海辺に漂着してから動物園に連れてかれた」

「ヨウジロウという人間が世話をしてくれた。とても優しくて親切だった」

「ヨウジロウが消えた原因を追っている。きっと何か起こったに違いない……!?」

”そうか……コイツも、僕と同じ現象を追って……”

露伴はしみじみとフォーエバーの顔を見た。

”自分の恩人を助けるために……たった一人、いや一頭で……。僕はこういう根性を持っている

ヤツにぐっと来るんだ”

露伴はフォーエバーのページに”考えていることは全部岸辺露伴に伝わる”と書いた。

「これでよし……と」

露伴はヘブンズドアーを解除した。

「ギィィッ!!」

ヘブンズドアーが解除されるなり、フォーエバーは露伴に向き直った。

”こ、こいつ、オレに何をしたんだ!?油断できないヤツだ、ブッ殺してや……”

「まあまあ、そう慌てるなよ。君は今から僕の仲間だ」

露伴は涼しげな顔で言った。

「……?」

”仲間……なんだコイツ、イカレたのか!?”

「いいや、僕はいたって正常だ」

「ギッ!?」

フォーエバーはさすがにゾッとした。

こいつ……なんでオレの考えた事が分かるんだ!?

「君に書き込ませてもらったのさ。考えが伝わるように……ってね」

”何!?”

フォーエバーは思わず自分の頭を押さえた。

”なんでそんなことを?”

「実は僕も君と同じ事件を追っているんだ……大畑洋二郎……君の恩人だろ?」

フォーエバーの顔がぎしりと強ばった。

「その人はスタンド使いに襲われた可能性が高い……助けたいんだろう?」

”えっ!?”

露伴は自分の見た一部始終をフォーエバーに話した。

「……」

フォーエバーは呆然として、露伴の話に聞き入っていた。

「……というわけさ。僕としても放っておけないんで、なんとかしようと思って……」

フォーエバーは、いぶかしげに露伴を見つめた。

”何故……なんでこの事件にこだわる?……お前には関係ないことなのに……”

「僕の崇高な正義感が卑劣な人間を許せないのさ……とでも言えば納得するかい?」

”……よく言うぜ”

露伴の答えに、フォーエバーは思わず吹き出した。

つられて笑った露伴の目に、白い帽子と学ランのような服を着た男の姿が映った。

「承太郎さんだ……」

フォーエバーはぎくりとして振り返った。

”……オレはアイツと一緒にはいたくない”

「分かってる。ひどい目に遭わされたらしいからな……君のことは承太郎さんには内緒にしておく。

何かあったら、君のいる所に来ることにするよ」

”わかった……”

それだけ言うと、フォーエバーは速やかに露伴のもとから走り去っていった。

「さてと……承太郎さんに何て報告しようか……」

露伴は承太郎の方へと歩いていった。

 

5.恐怖再び

 

その夜、フォーエバーは木の上を伝いながら、動物公園を見回っていた。

”あの……露伴とか言ったか……確か犯人は飼育員の中に居るって言ってたな……”

”一体理由は何だ……金か?恨みか?”

フォーエバーは思索を巡らしながら、木々を移動していった。その時、

「ぎゃぁあーーッ!!」

「!?」

男の悲鳴が、静寂を破ってフォーエバーの耳に届いた。

”まさか……誰かが襲われている!?”

フォーエバーは地面に下り、悲鳴の方向へと走っていった。

 

To Be Continued……


犯人はお猿さん、ならぬ「探偵はお猿さん」!
漫画家&オランウータン。世にも奇妙な探偵コンビ、ここに誕生!

疑惑の雲を払って、動物公園を取り戻せ!

梅干しさんとグレェェトさんは、ラウンド3に向けて、それぞれ自分のキャラの行動などをテキトーに書いてメールでお送り下さい!


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対戦ソース

梅干しさんの「フォーエバー」 / グレェェトさんの「岸辺露伴」


この対戦小説は 梅干しさんとグレェェトさんの対戦ソースをもとに海月なみが構成しています。
解釈ミスなどあるかもしれませんがご容赦ください。
梅干しさんとグレェェトさん及び、フォーエバーと岸部露伴にもありがとう!

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