Story Tellers from the Coming Generation! Interactive fighting novel JOJO-CON

梅干しさんの「フォーエバー」

VS

グレェェトさんの「岸辺露伴」

マッチメーカー :海月なみ
バトルステージ :動物公園
ストーリーモード :Semi Fantastic Mode


双方向対戦小説ジョジョ魂



ROUND  1

騒がしい日曜日

プロローグ 異変

杜王町の北西に位置する街、四神峰。

そこに、広大な敷地を誇る動物公園がある。

 

「オランウータン」というプレートがかかった檻。

檻……とはいっても、その広さは40坪程もある。

沢山の木や草が植えられたその小さなジャングルで、1頭のオランウータンが

餌を持ってくる職員の姿を待っていた。

「ウキィ……キキ……」

オランウータンは椰子の木の枝を揺らしながら、大きな緑の葉と戯れていた。

彼の名はフォーエバー。

約10年前、彼は見るも無惨な姿でB市の海岸に流れ着いた。

全身の骨が砕け、手(足?)の指一本満足に動かせない状態であった。

彼を見つけた人間は「獰猛なサメの群れにでも襲われたのか?」と不思議に思ったそうだ。

その昔、彼はある男の手下として働いていた。

彼に与えられた任務は「空条承太郎とその仲間を抹殺せよ」というものであった。

彼は海上を漂流していた連中をまんまとタンカーに乗せ、罠に掛けることに成功した。

そこは彼・・・フォーエバーのスタンド「力」の支配下にあった船だったのだ。

彼らは・・・自分の腹の中に入った小虫も同然だった・・・だが!しかし!!

あと一歩の所で承太郎に反撃され・・・そして・・・・。

「てめーは既に動物としてのルールをはみ出した・・・・だめだね」

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴォッ!!

 

・・・フォーエバーはおそるおそる自分の額を指先で触れた。

かつて承太郎に攻撃された古傷・・・10余年経った今でも、消えずに残っている。

このオレを侮辱しきった眼で、ボコボコのタコ殴りにしやがった、ゴミ捨て場のゴキブリにも劣る

ゲス野郎・・・!!

彼は今でもこの傷に触れるたび、あの日の屈辱を思い出すのだった・・・。

「おーい、ごはんだぞー」

フォーエバーは声の方向を振り向いた。

そこには中年の飼育員が、バケツを持って立っていた。

大畑洋二郎……傷ついたフォーエバーを引き取り、この動物公園に連れてきた保護した人間である。

「ほら、食えよ」

洋二郎がバケツから餌を取り出すと、フォーエバーは洋二郎の元に駆け寄った。

ヨウジロウは、フォーエバーに手を尽くして世話をしてくれた。

体を洗ってくれたり、檻の中を掃除してくれたり、餌をもらったり……。

それは彼が初めて味わう『安心感』 『憩い』だった。

安らぎ・・・そう、これが安らぎ。今の自分に闘いは必要ない……。

フォーエバーは心から安心し、ここの生活に満足していた。

「それじゃぁな」

洋二郎はフォーエバーが餌を食べるのを見届けると、バケツを持って立ち去った。

フォーエバーはヨウジロウの後ろ姿を見送った。

フォーエバーは、明日もヨウジロウが餌を持ってきてくれると思った。信じて疑わなかった。

しかし・・・・翌日、ヨウジロウは来なかった。

その翌日も、その次の日も、その次の日も次の次の日も・・・・・ヨウジロウが来ることはなかった。

 

1.騒がしい日曜日

 

抜けるような晴天の日曜日。さっぱりとした青空で、洗濯するにはうってつけの天気だった。

その日「四神峰ネイチャーパーク」に、一人の男が来訪していた。

Gペンをあしらった衣装に身を包んだ、奇妙な姿の男だった。

男は動物の入れられている檻の前に立つと、凄まじいスピードで動物を描写した。

描いては移動し、描いては移動し、男はそれを繰り返した。

「これでやっと36枚目か……もう数時間はかかりそうだな」

男はカピバラの檻の前でそう一人ごちて、別の場所へと移動した。

男の名は岸辺露伴……彼は少年向け週刊誌に連載を持つ人気漫画家である。

今度彼の描く漫画の中で「操られた動物達が主人公を襲うシーン」を描く必要ができたので、

動物のスケッチをすることにしたのだった。

本当はアフリカの大草原にでも行って野生の動物達を観察したい所なのだが、そんな時間は

ないので、とりあえず近場の動物公園で我慢することにした。

”だが・・・この動物公園が近くにあったのはラッキーだったかも知れないな”

露伴は、入り口で手にしたパークのパンフレットを見てそう思った。

この「四神峰ネイチャーパーク」は、飼育動物にとってより自然な環境を再現してあることが

最大の売りである。

例えば、ライオンの棲む檻には常に丈の短い草が生い茂っていて、まるでサバンナの一部分を

切り取ってきた様なこだわりようだ。

しかもこのパークには「動物園」だけではなく、「水族園」 「昆虫園」も、敷地の中に併設されて

いるのだ。

水族園では本物そっくりの磯や渓流を作り、魚をその中に飼っている。

昆虫園ではドームの中に蝶が放し飼いにされていたり、ヤゴやゲンゴロウが池を泳いでいたりする。

このパークはまさに彼、岸辺露伴の目的にうってつけの場所だったのである。

 

「ねぇ〜、ケンちゃん。ほっぺにキスしてよ〜。いいでしょぉ〜?」

「えぇ〜またやるの〜? もぅ、ルミちゃんったらぁ〜」

露伴はスケッチブックから目を上げ、隣にいるカップルを見た。

さっきから一目をはばからずイチャイチャしている。目の前の動物など全く見てないようだ。

たまらず露伴はカップルに詰め寄った。

「あのぉ……スイマセンが、ちょっと静かにしてもらえませんか?ちょっと集中できないので……」

露伴はぴくつくこめかみを押さえながら、カップルに言った。

「はぁ?何言ってるんだよ、オッサン?」

いちゃついていた男が険悪な表情で立ち上がった。

「オメー、ココをどこだと思ってんだよ。あ?ここはなぁ〜みんなが楽しむ動物園なんだよ……

分かるか?ここは、みんなの、場所だ……テメーがアレコレ言う権利はねぇんだよ!!」

男は露伴を睨み付け、食ってかかった。

”こっちは仕事のために来てるっていうのに……お前のようなヒマ人にそんなこと言う権利が

あると思うか?”

男のぶしつけな態度に、露伴の頂点がイライラが頂点に達した!

露伴はおもむろに右手を上げた。

”ヘブンズ・ドアー!!”

ズギュン!!

瞬間、男の頭部が本の様に開いた!!

相手の情報を読み、そして書き込む露伴のスタンド。

その凄絶な能力を今、男に向かって使用したのだ!

露伴は素早く男の頭に書き込んだ。

”『腹が下って、トイレに駆け込む』と……”

露伴はすかさずページを閉じた。スタンド発動からここまで3秒とかからなかった。

普通の人間には露伴が何をしたのか全く分からないだろう。

「わかったか?テメー……ん?んん?」

男はおもむろに腹を押さえた。

「な……なんか急にハ、ハラが……ル、ルミ……オレちょっと便所行って来る……」

みるみる男の血相が変わり、男はトイレへと走っていった。

「あ、ケンちゃん?ちょっと待ってよぉ〜!」

女も彼も追い、慌てて走り去っていった。

「……やれやれ、これで落ち着いてスケッチが出来るな」

露伴はスッキリした表情で、元の位置に戻った。

 

「ねぇ塚原さん、聞きました?」

「ああ・・・例の大畑さんのことだろ・・・・」

露伴がスケッチを続けていると、二人の男達が話しながら歩いてくるのが目に入った。

「四神峰ネイチャーパーク」と刺繍の入った作業着を着ている。ここの飼育員らしい。

”何だあいつら・・・仕事中に噂話とは怠惰な連中だな・・・・”

と、露伴は心の中では思いつつ、つい二人の会話に耳を傾けた。

「もう今月だけで5人目だぜ……オレ、なんか怖えーよ・・・」

「何かに呪われてるのかも知れませんね・・・・この動物公園・・・」

”呪い……”

二人は何かの顔色を窺うような、怯えた表情で話し続けた。

「しかし・・・大畑さんがいなくなったら世話するのが大変だろうな。あのオランウータン」

”……『いなくなった』……だって!?”

露伴は耳をそば立てた。

「ああ……代わりに小川先輩が係になったけど、苦労してるみたいだぜ。大畑さんも前に

”ワンパクなヤツだから、相手するのも骨が折れるよ”ってこぼしてたしな」

「何処行っちゃったんでしょうね、大畑さん・・・」

「……黙ってどこかに行っちゃうような人じゃなかったのになぁ……」

飼育員達は、そのまま話しながら露伴の前を通り過ぎていった。

「呪い……か……」

露伴は飼育員達の話の内容を、頭の中で反芻した。

”飼育員が……行方不明……どこの職場にも、1つ2つはダークな話題はあるもんだな……”

露伴は飼育員達から目を離すと、再びスケッチブックに向き直った。

 

2.秘密のピクニック

フォーエバーは辺りの様子を窺い、コッソリと檻に近づいた。

彼が何かを強く念じると、グニャリ!と火であぶられたビニールのように、鉄棒が左右に曲がった。

自分のエネルギーを取り憑かせた物体を任意のままに操る……これが彼のスタンド「力」の能力。

負傷によりかつての半分くらいの力しか出せなくなっていたが、それでも鉄棒の1本や2本ぐらいは

余裕で曲げられる。

フォーエバーは軽い足取りで抜け出すと、再び檻を元の形に戻した。

ヨウジロウが来なくなって数日、彼は毎日檻の外に出て園内を回るようになった。

フォーエバーの胸には、日々ヨウジロウに会えない事に対する苛立ちがつのっていった。

その感情を紛らわせるため、彼はこうして”散歩”に出かけるようになったのだ。

”さてと、カワイイ女の子でも見つけるか……”

フォーエバーは木から木へと飛び移り、眼下を歩く人間達を観察した。

しかし、今日は彼のお眼鏡にかなうような女性は見あたらない。

”……なんだ、今日はしけてやがんな……”

フォーエバーは枝の上で嘆息した。そしてふと目を下ろすと、

”……ン?”

ダチョウの檻の前に、なんだか変わった格好をしている男が立っている。服のいたる所に

Gペンのアクセサリーがあしらってある。

男はスケッチブックを開くと、猛烈なスピードで手を動かし始めた。

”……ナ、何だ!?あのものすごい速さは!?”

フォーエバーが戸惑う間もなく、男はわずか数十秒でダチョウの絵を描き終えてしまった。

鉛筆だけのシンプルな線だったが、彼が今まで見てきた絵のなかでもトップクラスの技術力だった。

人間離れしたスピード、そして鮮やかな描写力……。

男は涼しい顔で隣の檻に移動すると、再びスケッチを始めた。

”……ヘンなヤツ……”

フォーエバーはその男に興味を抱いた。

そしてしばらく、その男を陰から観察することにした。

もしかしたらいい暇つぶしになるかも知れない。

 

3.ささやく者達

 

露伴は「ふれあい広場」という看板がかかった柵の前で足を止めた。

柵に囲まれた芝生の上に何十匹ものウサギやハムスターが放され、大勢の子供達がそれらを

追いかけ回している。

皆一様に水色の帽子をかぶっているところを見ると、どうやら遠足か何かでここに来た幼児達らしい。

”ま、こういう光景をスケッチしておくのも悪くないだろう。何かに役立つかも知れないし……”

露伴はスケッチブックを開き、子供達と動物がじゃれあう様子を描き始めた。

一人の腕白そうな男の子が、白いウサギを追いかけて遊んでいる。

男の子はウサギを捕まえると、乱暴にも両耳を掴んで胸まで持ち上げた。

「おやおや……あのウサギ、北京ダックみたいに宙ぶらりんになってるじゃあないか……可哀想に」

露伴は思わず、その哀れなウサギを見て吹き出した。その時、

「痛てェじゃねぇか、このガキッ!!」

「!?」

露伴は一瞬、自分の耳を疑った。     

”い……今……しゃ……『喋らなかった』……か……あのウサギ!?”

露伴は確かに見た。ウサギの口の動きに合わせて、野太い男の声が聞こえた光景を……。

露伴はもう一度、さっき子供に掴まれていたウサギに注目した。

だがそれはもう普通のウサギで、子供達も特に変わった所はなく、元気にはしゃぎまわっている。

”……気のせい……だよな。最近スケジュール詰めすぎでちょっと疲れてたのかも……”

「たす……けて……」

「!!」

”まただ!また何か聞こえたぞ!!”

”空耳なんかじゃあない!かすれた声だが……本物だ!”

露伴はかすれた声を必死に聞き取り、音をたどって走った。

そして「カンガルー」の檻の前で……。

「なッ!?」

露伴はその光景に息を飲んだ。

数匹居るカンガルー……その1匹の背中に、人間の顔がくっきりと浮かび上がっている!!

「なぁぁんだぁッ!!これはーッ!!」

露伴は思わず叫び声をあげていた。

”ま……まさか……これは……『スタンド』ッ!?”

たすけ……て……

「……!!」

人間の顔が露伴の方を向き、その口が動いた。中年の男の顔だった。

露伴の顔から、どっと脂汗がふきだした。

”これは……どう対処すべきだろうか……”

露伴は無理矢理自分を落ち着けると、頭の中を整理した。

”『呪い』……”

”『飼育員が行方不明』……”

”カンガルーに、『人間の顔』……!!”

その時、露伴の脳裏に一人の男の姿がよぎった。

”……そうだ、とりあえずあの人に連絡しておかないと……”

 

4.嵐来たりて

「……?」

フォーエバーは、遠くから見つめていたGペンの男の様子がおかしい事に気づいた。

男はポケットから携帯電話を取り出すと、慌てて何処かにダイヤルした。

「えーと、ああーんと……あのホテルの番号は……」

男は携帯を耳に当て、話を切り出した。

「あ、すいません……空条承太郎さんに取り次いで頂けますか?」

”空条ッ!?”

その名を聞いた途端、フォーエバーの心臓が跳ね上がった。

”マ……マサカ……ク……空条……承太郎ッ……!!”

こいつ・・・まさかあの空条承太郎と知り合いなのか・・?

しばらく経って、露伴の眉間が険しくなった。

「空条さんですか……実は今、『四神峰ネイチャーパーク』というところにいるんですが……

もしかしたら……その……ここ、『スタンド使い』がいるかもしれません……」

”スタンド!?”

フォーエバーは目を見開いた。

”スタンドの事まで知っているのか……しかも、『ここ』にスタンド使いがいるかもだって!?”

男はそのまま電話で話し続けた。

「今から来るんですか!……分かりました。じゃあ、待ってます……」

男は電話を切り、神妙な顔つきで辺りを見回した。

”来る……承太郎が……この動物公園に……!!”

フォーエバーはなんとも理不尽な感情……人間で言うところの「運命の皮肉」というものを感じていた。

”承太郎の知り合い……ということは、この男も『スタンド使い』か?”

この男、いったいどうするべきか……。

フォーエバーは露伴の顔を凝視した。

 

To Be Continued……




静かに脅かされる動物公園の平和! 謎の現象の正体は?

フォーエバーと承太郎の因縁も気になるところですがが……
もしかしてもしかすると、「史上最強の漫画家&史上最強の類人猿」夢の黄金タッグ(?)結成か!?
ど、どうなるのーッ???

梅干しさんとグレェェトさんは、ラウンド2に向けて、それぞれ自分のキャラが『なにをしたいか?』、『何をしようとするか?』などをテキトーに書いてメールでお送り下さい!


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対戦ソース

梅干しさんの「フォーエバー」 / グレェェトさんの「岸辺露伴」


この対戦小説は 梅干しさんとグレェェトさんの対戦ソースをもとに海月なみが構成しています。
解釈ミスなどあるかもしれませんがご容赦ください。
梅干しさんとグレェェトさん及び、フォーエバーと岸部露伴にもありがとう!

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