Last Update 2016/03/15
ページ内目次
- はじめに
- 今までの年代記述と考察
- まとめ.結論
- 続報.最近の流れ
- 終わりに.今後について
はじめに
ジョジョの長年の謎の1つ、それが第3部の年代および空条承太郎の生年です。
これの奇妙な事は「作中描写の大部分とそれ以外の公式資料で設定が矛盾している」という点です。
大きく分けて、説は2つあります。
- A.89年終了説:終了(ディオ死亡)が1989年、承太郎は71年生まれ。
- B.87年開始説:ホリィのスタンド発現が1987年11月28日で1988年1月16日終了、承太郎は70年生まれ。
※「終了説」と「開始説」なのがちょっとアンバランスですが、
Aの説だと開始が何年なのかはっきりしないので、とりあえずこの記事では上の呼び方で統一します。
また、どちらの説でも期間が約50日なのは言うまでもありませんが、その時期は真冬です。(理由後述)
Aの89年終了説は原作本編や単行本での第3部関連年代記述のほとんどが根拠で、
第4部に若干例外があり、それがB説の根拠になっています。
Bの87年開始説は(たぶん)JOJO6251が最初で、JOJO A-GO!GO!、JOJOVELLERの一部、
S-MANGA.NETのジョジョ第3部動画(※音が出ます)、ジャンプ内の特集記事の一部等もこれを採用しています
承太郎の生年だけなら他メディアでのプロフィール解説なんかもあったはずです。
と、ここまで見ると明らかにBが多いわけですが、
実際には「JOJO6251発売時に原作が第4部だったので
当時の最新の年代表記を「正」としてそれまでの設定を再解釈し、
それがそのまま約20年後の現在まで続いている」というのがBの実情です。
いや、その時点で設定が整理されて正式決定したというのならそれで納得していたのです。
しかし、問題なのはそれ以降の原作でまたA(89年終了説)が主流になっている事です。
むしろ第6部なんかB説を信じると成立しなくなります。
また、原作全体を通してみると、第4部の数箇所を除けば、
年代記述は第3部終了が1989年(A説)でほぼ統一されており、
少なくともBよりはAの方が正しいと考えられます。
というわけで、現時点で私はA(89年終了説)を信じています。
なお、時期(季節)に関してはBと大差ないと思っています。
今までの年代記述と考察
それでは年代の特定に入ります。
基本的に単行本(JC)が基準ですが、版によって差異があるかもしれませんのでご了承下さい。
(違ったら教えて下さい。できるだけ優しく……)
0.前提
- 第1部でディオ吸血鬼化が1888年、最終回(ディオが海に沈んだ日)は1889年2月7日
- 第2部スタートは1938年秋頃、カーズ戦決着は1939年2月28日
- 第4部スタートは1999年4月、吉良戦決着が7月
- 第5部は2001年4月(3月?)の1週間程度の物語
- 第6部スタートは2011年11月、最終決戦までに年が明けている
1.承太郎の年齢
- 第3部1話目(JC12巻)他で17歳となっている。
- 扉絵プロフィールには17歳の水瓶座とある。(JC14巻「暗青の月その3」)
- 第4部冒頭(JC29巻)の康一君曰く、当時(1999年4月)28歳。水瓶座なので当年の誕生日は過ぎている。
- この時点で承太郎の生年月日は1971年1月21日〜2月18日頃となる。
※各誕生星座の期間は説によって数日ズレます。
- 承太郎が70年生まれという記述は原作には存在しない、B説の基準年代設定に合わせただけの解釈。
2.第3部が冬の話である根拠
承太郎一行のエジプトへの旅と同時期、東方仗助がスタンド発現の影響で高熱を出し、
病院に運ばれる途中で学ランの少年に助けられた事件が根拠。
当時の杜王町は大雪。普通に考えれば真冬。(JC35巻「漫画家のうちへ遊びに行こう その7」)
3.第3部の「日程」について
「年」はともかく、JOJO6251での「日付」(11/28に日本発)はどこから計算したのでしょう?
本編で日付の記述があった記憶がないので、ここで新規設定したのかと思いましたが、
1つだけ候補が見つかりました。
第3部第1話、牢内の承太郎が聞いているラジオの相撲中継です。
大相撲開催は奇数月、しかも内容からすれば14日目という事になります。
……これか?
だとすれば、「年」がズレると日付もズレますね。
優勝者や勝敗までは「漫画の中だから」一致する必要はないと思います。
ちなみに承太郎が旅に出るまでは、高校が冬休みではありませんでした。(JC13巻前半)
あと、第3部の旅が「50日」とされていますが、「約」50日じゃあないんでしょうか?
ホリィさんと仗助の発病は数日ぐらいズレてもおかしくないですし。
続いて、本格的にA説について考えます。
4.第3部最後のディオ死亡が1989年である根拠
- 前述の通り、開始から少なくとも『暗青の月』戦までは承太郎が17歳(1988年1月21日〜1989年2月17日の間)。
- 第3部のJC巻頭の「前巻までのあらすじ」によれば3部は第2部の「50年後」「現代」であり、開始当時は1989年。
- ジョセフが承太郎にディオの説明をする際、棺桶を「ちょうど100年前の」と言っている。(JC13巻「悪霊その正体」)
- 第4〜6部JC巻頭のジョースター家系図に「(1989)ディオ 承太郎の手によって倒される」とある
- 第4部でアンジェロから『弓と矢』の話を聞いた承太郎がディオについて、
「10年前に実在した男」で1988年に突然スタンドを身に付けたと言っている。
(JC29巻「東方仗助!アンジェロに会う その5」)
- 第5部でポルナレフが『矢』について「12年前エジプトでの闘争のあと手に入れた」と言っている。
(JC61巻「『グリーン・ディ』と『オアシス』 その12」)
※ただし、ポルナレフが『矢』の調査を始めたのは1990年代らしいので、
この台詞の「12年前」は「手に入れた」ではなく「エジプトでの闘争」にかかっている事になる。
- 第6部の扉絵解説で、ジョンガリ・Aは「承太郎に22年間の恨みをいだく」とある。
(JC3(66)巻「面会人 その8」)
- 第6部のプッチ神父の回想で、承太郎がエジプトでディオの『天国へ行く方法』のノートを焼却したのは1989年とある。
(JC6(69)巻「集中豪雨警報発令 その1」)
- 第6部最終巻の扉絵解説で、承太郎がディオを倒したのは「1989年」と断定している。
(JC17(80)巻「メイド・イン・ヘブン その4」)
「ディオ死亡が1989年」というだけなら正直これで根拠は充分だと思います。
第6部終盤までこの通りですし、少なくとも荒木先生はそのつもりだとしか考えられません。
なお、第4部の虹村形兆曰く、父親の『肉の芽』が暴走したのは「10年前」「つまり一九八九年」で、
これはディオの死が原因ですが、死亡直後とは限らないので参考程度です。
(JC30巻「虹村兄弟 その9」)
また、「○年前」という表現であれば、前後半年程度のズレはあるでしょう。
例えば第4部の杉本鈴美は「15年前」に殺されたとみんな言っていますが、
実際は「15年と10か月ほど前の1983年8月13日」でした。(JC36巻「岸辺露伴の冒険 その5」)
そのため、第3部「終了」は1989年としても、開始が1988年だった可能性はあります。
事実、ディオが海底から復活したのは3部開始の「4年前」(JC12巻「悪霊にとりつかれた男」)ですが、
ディオの息子であるジョルノ・ジョバァーナの生年月日は1985年4月16日なので、
ディオは遅くとも1984年夏頃には復活していないと無理があります。
(でも、例えばディアボロは妊娠3年目に生まれたので、逆にジョルノは超早産だったのかも?)
続いてB説、87年開始説についてです。
5.第3部開始が1987年だとする説の根拠
- 第4部の承太郎曰く、仗助がスタンド発現の影響で50日間入院したのは1987年、4歳時点。
(JC29巻「空条承太郎!東方仗助に会う その2」)
- 前述の「学ランの少年に助けられた事件」の説明でも同内容かつ、承太郎のエジプトへの旅と同時期。
- (他にも第4部中で何箇所かあったと思うが失念)
このように第4部だけですが、明言されています。
しかし、最初の承太郎の説明はそれ自体が怪しいもので、
直後にジョセフの浮気は65歳と言っていますが、ジョセフは1920年9月27日生まれなので、
65歳で浮気すると、仗助が1999年度に16歳という設定と計算が合いません。
これは単に承太郎の勘違いだったのではないでしょうか。
頭脳明晰な承太郎ですがジョセフの年齢にはアバウトで、実はこの少し後の話でも、
当時78歳のジョセフについて「80…いや!79歳…だったかな………」と言っています。
(JC33巻「レッド・ホット・チリ・ペッパー その2」)
はっきり言えば、正直第4部冒頭で荒木先生が色々と計算を間違えたとしか考えられません。
(※ジョセフの浮気時の年齢「65歳」は、遅くとも2016年3月発売の第4部総集編では「62歳」に修正済みです)
そして、ここでの年代設定は後のシリーズとも矛盾しています。
6.ディオ死亡が1988年1月ではあり得ない根拠
- 第6部のエンリコ・プッチ神父の生年月日は1972年6月5日(JC15(78)巻「ヘビー・ウェザー その3」)
- その妹のペルラの自殺が1988年で、神父が16歳の時。つまり誕生日6月5日以降。(「ヘビー・ウェザー その4」)
- 神父がディオの親友となって『天国へ行く方法』について聞かされるのはその後。
(「ヘビー・ウェザー その5」、JC6(69)巻「集中豪雨警報発令 その1」)
- つまり、少なくとも1988年6月頃まではディオは健在でないとおかしい。
ご覧のように、B説とはかなり決定的な矛盾がありました。
荒木先生が第6部を描いた時点でB(87年開始)を基にしていたとは考えられません。
まとめ.結論
これらの年代はどの記述を「正」と基準にしてどう解釈しても必ずどこかに矛盾が生じますが、
やはりディオ死亡が1989年というのが一番無理がないんじゃあないかと考えられます。
まとめると、
- 承太郎の生年月日は1971年の水瓶座期間(1月21日〜2月18日頃)で、少なくとも『暗青の月』戦までは17歳
- 第3部冒頭から終了(ディオ死亡)まで約50日(長くて60日程度?)
- ディオ死亡は1989年の、どんなに遅くても4月初旬まで(承太郎18歳の誕生日を一番遅く仮定して、その約50日後)
- 第3部冒頭は1988年11月か1989年1月の下旬(終了まで60日以内、真冬、冬休み期間外、大相撲14日目)
- ディオ復活は第3部開始「4年前」で、ジョルノの生年月日1985年4月16日を考えれば遅くとも1984年の夏頃まで
となり、「第3部は1988年11月下旬開始、1989年1月下旬終了」が最有力仮説と判断します。
少なくともB説(87年開始説)は「多数決では負け」、「原作本編での最新の説とも合わない」という事です。
正直、いまだにB説が公式に採用されている理由がわかりません。
と、ここまでが2013年の考察です。
続報.最近の流れ
上記の考察後もジョジョにはアニメ化等、様々な動きがありました。その中の年代設定は下記の通りです。
- アニメ版ジョジョ:B説(87年開始説)
- 第2部最終回の空港シーンおよび第3部冒頭は1987年、DIO復活は1983年。
- コンビニ版ジャンプリミックスジョジョ第6部(2014年重版分):A説(89年終了説)
- 本編は前述の通りだが、各巻の背表紙に「第3部から22年後」とある。
つまり2011-22=1989年終了という解釈になる。
- ジョジョニウム(JOJONIUM):AB混在
- 公式サイトの各巻紹介のページにある8巻のあらすじ……「ジョセフとカーズとの死闘から50年後」:A説(89年終了説)
- 8巻の箱の裏側(年代表記)……「1987」:B説(87年開始説)
- ジョセフによるDIOの棺についての説明「ちょうど100年前」……変わらず:A説(89年終了説)
- 8巻の「キャラクター誕生秘話」での承太郎の生年月日……記載なし(身長体重等はあっても、生年月日は項目自体なし)
※カーズの誕生秘話では生年月日は「不明」と書いてあるので、「不明だから項目ごと削った」わけではないはずです。
年代や承太郎の年齢等に関する他の記述に特に変更はないようですから、
この1冊だけ見れば1970年生まれだと明らかにおかしいわけですし、良い措置かもしれませんね。
- 2015年発売、荒木先生の著書『荒木飛呂彦の漫画術』:A説(89年終了説)
- 「『ジョジョ』第一部の時代設定は一八八八年、第二部は一九三八年でした。
それに続く第三部は一九八八年という、第一部からちょうど一〇〇年経った世界です。」(92ページより)
- ここでの1部2部の年代は最終決戦終了時ではなくメイン部分開始時なので、第3部についても88年開始(→89年終了)という事になる。
※「ジョジョの本」でないのが残念ですが、作者コメントとしてはもうこれで決まりと言えるでしょう。
- 2015年発売、TVゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』:B説(87年開始説)
- 承太郎がDIOを倒したのが1988年と断言。
ただし、ABどちらの説からしても完全な計算間違いである「ジョセフが65歳で浮気」もそのまま。
- 2016年3月4日発売、ジョジョ第4部「総集編」:B説(87年開始説)
- 承太郎の台詞、仗助がスタンド発現の影響で50日間入院したのは1987年、4歳時点という部分は修正なし
(第2話「空条承太郎!東方仗助に会う その2」)
ただし、「ジョセフが65歳で浮気」は「62歳」に修正済み。
- (おまけ)2016年2月1日実施、国士舘大学入学試験問題:B説(87年開始説)
- 「本作中の時代は1987年だと言われている」とあったとの事だが、当然ジョジョ公式ではない。
終わりに.今後について
2016年3月発売のジョジョ第4部総集編まで状況は変わっていませんが、
遠からず発売されそうな第4部ジョジョニウムからはAの89年終了説に統一されて欲しいと願っています。
本編を直して欲しいというのは私も正直おこがましいと思いますが、
「原作中で主流らしき設定に合わせて欲しい」と言っているだけです。
例えば第4部の文法間違いな英題「Diamond is not Crash」もJOJOVELLER(もっと前?)から修正されました。
ならばこっちもできるはず!
それに、「JOJOVELLER等の関連書籍が常に原作本編と食い違ったまま」というのもおかしな話です。
軽く数千円以上する高級品がそんな状態のままで良いのでしょうか?
発売済みのものはともかく、いずれまた新しいものが発売される時には、正しいものであって欲しいです。
※ちなみにアニメ版と原作で設定が違うのは他作品でもよくある事なので大丈夫だと思います。
もし同意してくださる方がいらしたら、
是非ともしかるべきところに意見として送ってみて下さい。
ツイッターやってる人なら他も色々あると思います。お願いします。
ここまで読んで下さった皆さん、ありがとうございました。
ここまで書いておいて私が間違っていたらごめんなさい。
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